■2023年08月23日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
ある評論家の仕事を手伝っていたことがあります。 学歴も評論家として独立するまでの 経歴もまばゆいばかり。 そのことは広く知られているのに、それでも 彼は出会う人ごとに自慢をしないではいられない。 それが理解できませんでした。 自慢話はさすがにストレートにではなく、 それとなく遠回しで、こんな具合です。 「本郷界隈には詳しいんですよ。 大学があの近くだったので」とか、 「政治家の××とは親しいんですよ。 彼とは駒場で寮がいっしょでしてね」 家族自慢も相当なもので、ご子息が通う 大学はいうまでもなく、奥さんの実家など、 なんでもかんでも自慢のタネ。 文句なしに優秀な方だったのですが、 あまり好印象はもてませんでした。 ところがあるとき、彼の内心は、 不安でいっぱいなのだと気づいたのです。 彼の出生はけっして恵まれたものではなく そこに触れられることは、彼にとって 屈辱のようでした。 自慢話は、そのあたりの話題を避けたい 一心からだったようです。 自慢話の多い人は往々にしてこんなもの。 みなが自分を評価し、ちやほやして くれなければ不安でたまらない。 裏を返せば、本当は自分に不安を感じていて 自慢話はそれを隠すヨロイなのです。
まゆの感想
いますよね~自慢話ばかりする人。
またか、こんな自慢話をとうとうとして 恥ずかしくないのかとも思うけど、 本人は意気揚々で、あれこれあれこれ、 何度も同じ自慢話を繰り返す… 自慢話をすることが、自分の評価や 価値が上がると思っているようだけど、 回りはドン引きで、誰もまともに、 その人の話を聞かないようになるのに、 そんなことより、がまんできずに、 ひたすら自慢話がしたいんですね~ でもその裏には、何か隠したいことが あるのかも…しれませんね。 ところで、こういう自慢話をして 優越感を感じることを仏教では、 「増上慢(ぞうじょうまん)というそうです。 また逆に、たとえば、 「私なんかダメ人間で」「私はバカだから」 と卑下してみせる人も実はなんと 「増上慢」だそうです。 卑下していると見せながら、じっさいは 「そんなことはないでしょう。とても 優秀だと評判ですよ」などという ほめ言葉を待っているというのです。 本人は謙虚に振る舞っていると 思いこんでいるかもしれませんが、 内心では「自分を認めて、認めて」 と叫んでいて、それを 「卑下慢(ひげまん)」というそうです。 「増上慢」も「卑下慢」も 根っこはひとつ、裏腹の感情です。 どちらも人の評価が気になって しょうがないことから生まれる煩悩で、 「増上慢」から抜け出せない人は、同時に、 「卑下慢」にも苦しむことになるとか。 うーん、自慢話も卑下慢もイヤだな、 そうするより、もっとできることをして、 自分で自分を認めてあげたいな、 と思ったしだいです。 |
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