■2011年01月31日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
中国のある国境の塞(とりで)に一人の老人が住んでいた。
ある日、飼っていた馬が胡の国の方へ走って行ってしまった。 近所の人たちが、気の毒に思って「災難でしたなぁ」と 同情していた。それに対して老人は、 「いやいや、まだわかりませんぞ。ひょっとすると、 よいことがあるかもしれませんぞ」と悠然としていた。 やがて数ヶ月過ぎた、ある日、なんと逃げた馬が 胡の国の名馬をつれてきたのである。 近所の人たちは、こんどは、お祝いの言葉をかけた。 それに対して老人は 「いやいや、よいことか、めでたいことかわかりません。 悪いことにつながるかもしれません」と答えた。 案の定、一人息子が、名馬を気に入って乗り回していたところ、 落馬して大腿骨を折って片足が不自由になってしまったのである。 近所の人たちは、「大変でしたね」と見舞いにやってきた。 ところが、老人は相変わらずのにこやかな顔で、 「いやいや、同情してくださらなくても結構ですぞ。 これで不幸と決ったわけじゃないですからな」 と言っていた。 それから一年余りが過ぎ、隣国の胡が侵略してきた。 若い男性は兵役にやりだされたが、 一人息子は足が不自由なため、兵役を免れた。 10人のうち9人は戦死してしまったが、 老人と息子は難をまぬがれたのであった。 世の中、何が幸いに結びつくか、それとも不幸に結びつくか、 わからないことを教えてくれている。
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