■2020年10月29日の「今日のことば」■
前日のことばを見る 次のことばを見る
「今日のことば」
幼い頃の私は、家の中では威張っていて、
外へ一歩出れば父や母、四つ上の姉の後ろに 隠れて小さくなっているような子どもでした。 学校へ行く道で、校長先生が 歩いて来られるのによく出会ったんです。 私は校長先生というのはもの凄く偉い人だと 思っていましたから、先生の姿を見ると、 足がすくんで、歩けなくなって 物陰に隠れたりしていました。 「校長先生に会うのがこわいから、 学校に行かない」 なんて言ったりしていたんです。 そうしたら母が、 「何を言ってますねん、 豆腐屋のオッサンかて 校長先生かて、同じ人間ですがな。 何がエラい」 と言いました。 もの凄く偉い方だと思っていましたから、 何がエラいと言われますとね、 「ああ、そうなのか」と、 それも一つの開眼になりました。 人間はみな同じなんだ、偉いもダメもないんだ、 という考え方は、母から与えられました。 そんな風に、 折りに触れ大人の言った言葉を聞いて、 いつとはなしに体の芯になっていく、 体の奥に沁み込んでしまう、 そういうことがあるんですね。
|
|