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「今日のことば」
幼い頃の私は、家の中では威張っていて、
外へ一歩出れば父や母、四つ上の姉の後ろに
隠れて小さくなっているような子どもでした。
学校へ行く道で、校長先生が
歩いて来られるのによく出会ったんです。
私は校長先生というのはもの凄く偉い人だと
思っていましたから、先生の姿を見ると、
足がすくんで、歩けなくなって
物陰に隠れたりしていました。
「校長先生に会うのがこわいから、
学校に行かない」
なんて言ったりしていたんです。
そうしたら母が、
「何を言ってますねん、
豆腐屋のオッサンかて
校長先生かて、同じ人間ですがな。
何がエラい」
と言いました。
もの凄く偉い方だと思っていましたから、
何がエラいと言われますとね、
「ああ、そうなのか」と、
それも一つの開眼になりました。
人間はみな同じなんだ、偉いもダメもないんだ、
という考え方は、母から与えられました。
そんな風に、
折りに触れ大人の言った言葉を聞いて、
いつとはなしに体の芯になっていく、
体の奥に沁み込んでしまう、
そういうことがあるんですね。
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