■2019年11月26日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
ある母親が真剣な顔で次のように訴えた。 私は3人の子どもを平等に可愛がりたいと思って、 一生懸命に努力しているつもりなんですが、 なぜか長男にイライラすることが多くて、 ついついたたく回数が多くなってしまうのです。 寝顔を見ながら、 「今日はごめんね」と謝ることがよくあります。 でも、どうしたことか、あの子を長女や次男のように 素直に可愛がってやれないのです。 はっきり言って、あの子の顔つきや歩き方が嫌いなんです。 自分で産んだ子を、心から可愛がることができないなんて、 悲しくなります。 この母親の場合も、交流分析を通して、 過去と現在とが心の中でごっちゃになって、 まさに〝場違い〟な感情反応をしていたことが 分かってきた。 彼女は、子どもの頃、よく兄からいじめられていたので、 彼に仕返ししてやりたい気持ちを常に抱いていた、という。 ところが、生まれてきた長男は、顔はもちろん、 身体の格好から歩き方まで兄そっくりだったのである。 そこで、彼女は兄と長男とを同一化し、 兄に対する憎しみを、知らず知らずのうちに、 わが子に出していたわけである。 これと似たことは、恋愛の場合にもよく起こる。 父親に愛着を抱いてきた女の子が結婚するとき、 父に似た男性を選ぶことは、我々の周囲でもよく見られる 同一化現象である。
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