ことば探し
★私も含めて、家族がみな健康で、元気です★

■2018年12月07日の「今日のことば」■

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「今日のことば」

Aさんは、52歳の大腸ガンの女性患者。
頑固な吐き気が最期までどうしてもとれなかった。
複雑な過去を持った人で、極度の人間不信に陥っており、
医師や看護婦を寄せ付けないという雰囲気があった。
親切心をもって言った言葉を被害的に解釈することがよくあった。
病室にいってもほとんど物を言わず、つらさも表現しなかった。
いわゆる「取り付く島がない」という感じであった。
吐き気がうまくコントールされなかったことも一因ではあろうが、
コミュニケーションのとりにくさは、彼女の性格的なことに
原因があるように私には思われた。
ところが…

衰弱が進み、意識も少し下がり、
死が近づいたある日のこと。
受け持ちの看護師が彼女の側に座って手を握り、
「何もできなくてごめんね」と言った。
それに対して彼女は、
「看護師さんは何もしなくていい。
 親切な心をもってそばにいてくれたらそれでいい。
 ありがとう」
と言った。
看護師は彼女の意外な言葉に感動し、
「Aさん、ありがとう」と言った。
この短い会話を私に報告しにしてくれた看護師は、
報告しながら声をつまらせ、大粒の涙をぽろぽろこぼした。
これがこの患者の最期の言葉であった。
彼女は3日後に亡くなった。
この最期の言葉はこれまでのスタッフの苦労を
一気に吹き飛ばすものであった。(略)

不治の病とのつらく長かった闘いを、
いままさに終えようとしている最愛の人の投げかける最期の言葉。
そして、死を覚悟して自ら家族に遺す言葉…
それらは、どんな言葉であっても、
付き添う私たちスタッフの胸を打たないものはない。

ただ、願わくば人生の最後に、
いい別れ、いい言葉がけができるように、
日々の生活の中で、よい関係を築いていければと思う。
人生の最後に、やはり、
嘘の言葉は出てこないものなのである。



出典元 あなたともっと話したかった
おすすめ度 ★★★★★  ※おすすめ度について
著者名 柏木 哲夫

まゆの感想
今まで生きてきて、
いいことも悪いことも、楽しいこともイヤなこともあったし、
恥ずかしい思いも後悔もあるけれど、
最期に「ありがとう」と言って死にたい。

今は、自分の人生に
「まあまあだったね、よく頑張りました、ありがとう」
と、そして、関わってくれた人たちに心から
「ありがとうございました」と思っているけれど、
煩悩が先立つ人生で、身勝手な我が身。
これから先、まだまだ何かあるかわからない。

最期まで「本当にありがとうございました」と、
すべてに感謝して逝けるように生きていたい、
しみじみ思うこの頃です。


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