■2016年04月01日の「今日のことば」■
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![]() 焦土となった敗戦の祖国へ引きあげてきたときも、 希望は何ひとつなかった。 それでもシドロモドロにぼくは生きのびてきた。 「今日いちにち生きられたから、明日もなんとか生きてみよう」 と思った。 漫画家としてやっとフリーになったが、まわりは 天才、鬼才、異才がひしめいていて、とてもかなわない。 おまけにぼくは多病で、病気ばかりしていたので前途は真っ暗。 それでもあきらめはしなかった。 今までなんとかなったのだから、 辛酸なめているうちになんとかなると信じていた。 心の奥底の部分が妙に楽観的でノンキなのである。 困ったものだが、なんとなくピンチを脱出して、 何とか生きのびることができた。 売り出したい、流行児なりたい、 異性にももてたいと思ったが、まるでダメだった。 「なんのために自分は生きているのか?」 と考えるのだが、よくわからない。 C級の漫画家として、わかのわからない人生が 終わるのだと思うと情けなかった。 ところが、大変遅まきながら 60歳を過ぎたあたりから、あまり欲がなくなった。 「漫画は芸術である」なんて えらそうなことを言わなくなった。 人生の最大なよろこびは何か? それはつまるところ、人をよろこばせることだと思った。 「人生はよろこばせっこ」だと気づいたとき、 とても気が楽になった。
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