■2012年03月22日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
正論を言う人は一目置かれるかというと、なぜかそんなことはなく、
煙たがられることのほうが多い。いったいなぜだろう。(略) 正論とは、たとえて言えば、 純度100%の塩化ナトリウムみたいなものである。 自然界にある《塩》は、ミネラルやカルシウムなどの《不純物》が 混じっていて、純度100%なんてありえない。 だから受け手の舌が肥えてくると、この塩化ナトリウムが、 どうも、不自然な味に感じられるようになる。 ただ塩辛いだけで、味に深みがない。 逆に《不純物》が混じっている方が、塩辛さのなかにも、 微妙な甘みや苦みがあり、味わい深く感じられるものだ。(略) たとえば、「ムダな道路やダムをつくるのは即刻やめるべきだ」 これは正論。確かにそのとおり。否定はできない。 「たしかにそのとおり。でもそうは言ってもね… じっさい道路ができて便利になった人もいるわけだし… 公共事業なくしちゃったらずいぶん失業者も出るし…」 というように、否定はできないけど、100%認めてしまうのは、 なんだか違和感があるという《不純物》がたいていあるものなのだ。 この「そうは言ってもね」の部分をお互いに共有できていないと、 話は通じない。 世の中、そう簡単ではないのだ。
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