■2008年03月15日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
ぼくは、大きく息を吸って「父さん」と切り出した。
「ぼくは、医学の道には進めないと思うんだ」 父は、怖れていたことをついに聞いてしまったとでもいうように、 視線を落とした。その表情があまりにも悲しげだったので、 ぼくの胸ははりだけそうになった。 だが、もう一度ぼくを見たときは、今まで見たこともないほど やさしい表情が浮かんでいた。 「わかっていたよ」と父はおごそかに言った。(略) 父をどれほどがっかりさせたかと思うと、 ほくは涙が出そうになった。 「父さん」とぼくは言った、「ごめんなさい」 父は鋭い視線でぼくをみた。 「いいかい、父さんはお前が医者にならないことに失望した。 だが、お前そのものに失望したわけじゃない」
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