■2024年05月22日の「今日のことば」■
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![]() 「別に用事はないんだけど、どうしているかな、 と思って電話したんだ」 「特に用はないけど、会いたくなって」 こんな風に「理由がない」のに、 大切な人から電話がかかってきたり、 その人と会えたりするときに感じる 喜びというものがあります。 みんながお互いに 「忙しいでしょう?」と言うほど せわしなく時間が流れている。 だから、何となく会いたくなったり、 何となく話をしたくなったりしても、 何か理由がないといけない気がして、誰に 対しても何かしら理由を探してしまいます。 でも、目的を決めずに 誰かと一緒に過ごした時間が結果的に 実り大きい時間になるということは あるのだろうと思います。 用事や理由がなくても 会えることの価値は大きい。
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私が今住んでいる地方の、
少し奥まったところに住んでいる 知り合い一家のお話です。 その一家には、手頃な大きさの小屋を持っている おじいさま(90歳くらい)がいて、 その小屋の真ん中に薪ストーブがあるそうです。 おじいさまは、午後6~7時には寝て、 朝5時前に起きて、寒いときには薪ストーブを焚き、 それから畑仕事などなどをコツコツとやるそうです。 すると、6時頃になると近所の方々が 好き好きにその小屋に集まってきて、 薪ストーブの前に座り、おじいさまを囲んで なんだかんだと話をしていくそうです。 朝ご飯の時間になると、それぞれ家に戻り、 10時頃になると再び、好き好き集まってきて、 お昼頃になるとまた家に戻り、午後になると また集まってくるそうです。 おじいさまは、その中心にいて、 うんうんと話を聞いたり、自分の話もしたり、 畑の話や野菜の話などをしてただ、みんなと いっしょに話をして過ごしているとか。 集まってくる方々は、その時間帯ごとに違っていて、 勝手に飲み物を持ってきたり、ときに、 みんなで持ってきたものを分け合ったりして、 そこに何のルールもなく、みんな自主的に勝手に来て、 勝手に帰って、また来て…これが長い間 ずっと繰り返されているのだとか。 この話を聞いたとき、私はとても驚きました。 ただ何の目的もなくみながそこに集まり、 ひとときを過ごし、自分の生活に戻っていく… そこに理由も用事もルールもなくただあたたかい、 そんな空間があるのだと。 おじいさまの人柄もあるのでしょうが、 このような空間があれば、 そのような関係の中に受け入れてもらえたら、 人はあたたかく豊かに生きていけるのはないかと。 今度この小屋に行ってみることになりました。 とても楽しみです。 |
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