■2017年08月30日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
ドイツの厭世観の哲学者、ショーペンハウアーは、 「ヤマアラシのジレンマ」 ということを言っている。 寒い冬の日、2匹のヤマアラシがお互いの体温でもって からだをあたためあおうとした。 しかし彼らの身を守るトゲが邪魔になって 抱き合うことができなかった。 かといって、トゲをとってしまえば、彼らは、 すぐに肉食獣の餌食にされてしまうだろう。 まさにジレンマである。 人間にもトゲがある。 わたしたちは、「自我」という鋭いトゲを持っている。 だから、いくら願っても、わたしたちは他人と ぴったりひとつになれない。 わたしたちは、ある程度距離を置いて、 上手に他人とつきあっていくよりほかないのである。
まゆの感想
ヤマアラシのジレンマの話は、
どこかで聞いたことがある話だと思います。 お互いに愛しあっていても、 人にもトゲがって、なかなかぴったりとくっつけない。 仮に、トゲを引っ込めてぴったりとくっついたとしても、 今度は、身動きが取れなくなって、 互いに窮屈になってきて、結局は離れてしまう… あるいは、あまりに体温が熱すぎて離れてしまう… 人は、そういう宿命を背負っている、ということです。 くっつくときもあっていいですが、 それは永遠ではなく、いつか離れることを自覚し、 離れても落胆せずに、ほどよくくっついたり離れたり… 自分と他の人(家族も含む)と、 上手な距離をとっていくことはとても大切なようです。 自分のためにも、相手のためにも。 むやみやたらに相手の心の境界線内に入らない、 それは、寂しいことではなく、孤独なことでもなく、 愛がないからでもなく、お互いに信頼し合い、 その関係を継続していくという思いやりかもしれません。 |
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