■2015年05月27日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
「みんな本当によくしてくれるけど、もう十分生きた。
亭主はとっくにあの世に行っているし、友だちもみんなあの世。 私もそろそろ向こうに行きたい」 ため息まじりにそう言って、私に 「一服盛ってくれないか」と言うホームの入所者もいます。 「その気持ちもわかるけど、世田谷警察の厄介になるから それは勘弁してくれ。大丈夫、もうじきお迎えがくるよ」 と答えています。 どうやったら元気に長生きできるかという情報も必要なのですが、 「もう生きているのが嫌になった」「そろそろ逝きたい」 と真剣に思っている人たちは潜在的に相当数いるはずです。 そういう老人たちに心を穏やかにしてもらための方法というのも、 もっと世の中全体で考えてもらいたいものだと思います。 がんばれ、がんばれと煽るばかりが親切だとは限らないのです。
まゆの感想
私の実母は、現在、施設でほぼ寝たきりです。
ベッド脇のてすりにつかまって、やっと立つことができますが、 歩くことはできません。 また、足に痛みがあり、痛みがあるたびに起き上がりますが、 足を伸ばしたりすることができるくらいで、 毎日毎日「痛い、痛い」と言います。 最近は、話もほとんどしなくなりました。 食事の量も減り、大分やせてきました。 そんな母は、大分前から、 「こんなに長生きする予定ではなかった。 ちょっと長生きし過ぎた。もういい」 と、言うようになりました。 働き者で口達者で人一倍元気だった母なので、 今の母の状態は、娘の私からみると辛いものがあります。 先日、母にこう聞きました。 「おかあさん、いつの頃がいちばん幸せだった?」 すると母は、しばらく黙った後で、 「今かな…」 と、言いました。 驚きました。 そして、泣き出しそうになりました。 こんな状態で、今とは…なんて。 ありがとうね、おかあさん、と思いました。 母は、こう続けました。 「今は楽だし。だからもう十分なんだ」 私は言葉もなく、母の手を握ったままでいました。 母は、そういうと間もなく眠りにつきました。 石飛さんの言うこと、切実に感じる日々です。 |
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