■2012年06月19日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
デンコー・マック(※)が成功してしばらくしたら、
「その構造を使って魚釣り用のナイフをつくったら 売れるんじゃないか」という提案が上がってきた。 おもしろそうだというので、錆びないように刃を ステンレス製にして、商品化したが、 これは年間300~400本しか売れていない…というより、 売りに行っていないのだから、売れるはずもない。 せっかくつくったのに、なぜ、売る努力をしないのか?」 もともと、この商品はデンコー・マックと同じ金型を 使っているので、初期投資がいらず、それほど損はしないし、 なにより、営業にコストをかけるのはムダだからである。 未来工業は電設資材の会社だ。 営業ルートもそういうところだ。 魚釣り道具を使うような、たとえば釣り具ショップなどへは 広がりを持っていない。そに営業をかけても、営業コストに 見合うだけの利益を確保するのはまず難しい。(略) じゃあ、なぜ、わざわざ製品化したのか? 常に新しい提案を続けていくには、 そういう場が必要だからである。 新しい発想、柔軟な発想を育てていけるような場がなくては、 未来工業は発展していかない。 そういう意味で、極端にいえば、 仮にひとつも売れないモノでも、それを企画して、 商品化していくことは、少しもムダなことではない。
まゆの感想
今、あちこちで話題にのぼっている未来工業社長
山田昭男さんの書かれた本です。 すごい発想をし、それを普通に実行している方なのだと、 この本を読んで本当に驚きました。 そのひとつが、今日のことばの話です。 また、山田さんは、こうも言っておられます。 「売れるからといって、2000円のものだけをつくればいい というものではないのだ。もちろんそのほうが 収益率も高いから利益も上がると考えるかもしれない。 でも、1000円のものがあるからこそ、2000円の 商品が売れているのだということを忘れていけないのである」 今時は、売れないものは切り捨てていき、 売れるものだけに特化していくという考え方が主流です。 極力ムダなものは作らない、ムダは排除するという流れの中で、 山田さんの考え方は、まるで反対の考え方で、 一見ムダと思えるようなことの中にこそ、 次の商品開発に結びついていくこと、 種類があるから選ばれるという、販売の秘訣があるというのです。 だから、決してムダではない、これが力になるのだと。 ムダを切るあまりにぎすぎすしてゆとりがなくなり、 せっかくのいいアイディアもムダだと切り捨てられて、 どんどんつまらなくなってやる気をなくしていく… そのほうが、はるかに損だと思ったしだいです。 ※デンコー・マックとは、年間約1万本売れるという、 未来工業のヒット商品の電気工事用ナイフ |
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