■2009年05月14日の「今日のことば」■
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日本列島を正確に測量した最初の人は、伊能忠敬であった。
49歳のとき、家業の酒造業を息子に譲り、50歳から 天文学、暦学の勉強を始める。 55歳から71歳まで17年間、日本列島を歩き続け、 「大日本沿海実測全図」(通称「伊能図」)を完成した。 ぜん息の持病に苦しみながら、72歳で亡くなるまで 自分の夢を追い続けたのである。 忠敬が踏破した距離は4万3千キロ。 地球を一周と10分の1を歩く距離であるから驚く。 ところで、もし忠敬に、 大事業の決意のほどを尋ねたら、なんと答えただろうか。 「初めの一歩を踏み出すのに決意などいらない」と 答えたに違いないと思う。 私たちが大きな仕事を前にして、なぜ勇気を失うのかを 考えてみたらわかる。まず、大きな仕事だ、大変だ という思いで、やる前から萎縮している。そして、 できるだけ無理しないで、最短距離で目的地に到着したい、 失敗して笑われたくない…これらの、要領よくやりたい、 という雑念にとらわれてしまう。 一方、忠敬は、こんな小さな心に かかずらわっていなかったに違いない。 たとえそんな心があっても、それはそのままにして、 まず1歩を踏み出して、2歩目はそのときに考えればいいと、 我が道に飛び込んでいったのである。
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伊能忠敬は、50歳から自分の人生を始めた。
それまでの50年間は、義務や義理、人(家族、従業員)の ために生ききり、その後は、持病があったこともあり、 それなら最後は自分の夢を追いたいと決意し、 自分の夢へと向かっていったと言われている。 そして、結果的にとてつもなく大きな仕事を成し遂げていく。 一歩を踏み出して。一歩から初めて。 私などは、さほど大きな仕事でなくても、 やる前に萎縮したり、無理なく楽にしたい、 最短距離でやりたい、などと考えてしまい、 そう考えれば考えるほど、一歩が踏み出せなくなることが多い。 本当に情けないなぁと思ったりしている。 大げさな勇気や決意なんていらないから、 一歩を踏み出そう、 一歩から始めよう、 たった今から、 そう自分に何度も言い聞かせていかねばならないと思う。 踏み出すまで何度も何度も。 |
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