■2008年03月21日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
たとえば、ノーベル賞を受賞した科学者が
教育制度の改革についてコメントしていたとしよう。 その人は科学者として優秀だから、ノーベル賞を受賞したので あって、教育者として優秀かどうかはわからない。 ところが、世間の人々は、 「ノーベル賞をもらった人が間違ったことを言うわけがない」 と思い込んでしまう。 このように、「この人の言うことだから」と いうだけで是非を判断してしまう思考法のことを、 社会心理学の世界では、「属人思考」という。 正しいか間違っているかという基準が、 その「人」に属しているわけだ。 しかし、どんなに意地の悪い上司でも 正しい意見を言うことはあるし、どんなに権威のある 高名な学者でも間違った意見を言うことはある。 それぞれの是非を正しく判断するには、 「人」に対する怨念や敬意を脇に置いて、 その意見そのものを吟味しなければいけない。 そういう思考法のことを、属人的思考に対して、 「属事思考」という。「人」とは関係なく、 1つ1つの「事柄」を見て判断を下す考え方だ。 他人の意見を冷静に聞き、「坊主憎けりゃ…」や 何でも鵜呑みにする盲信を避けるためには、属人的思考を捨てて 属事的思考を心がけなければいけないのである。
まゆの感想
この本では、さらにこう言っている。
「しかし私たちは、往々にして属人的思考に陥るものだ。 それは、人間の思考がそのときの感情や立場に 左右されやすいからである」 感情が高ぶったりすると、 その人がどんなにまともな意見を言っても、 それに同意することはむずかしい。 ケンカの最中に、相手の意見が正しいと思ったとしても、 それを素直に受け入れることはなかなかできない。 また、自分でしっかり考えてみることもなく、 この人が言っていることなら「正しいだろう」と その人の言っていることを安易に鵜呑みにしがちだ。 しかし、本当にその意見が正しいか間違っているか、 自分の感情は感情として大切だし、立場もあるが、 いつもそれらにまかせて判断してはいけないと思う。 自分がその意見に対してどう思っているか、考えるか、 やっぱり自分の「軸」をしっかりと持ちたいし、 感情や立場を抑えて、属事的に考えることが大切だと思う。 |
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