■2008年01月21日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
明治時代の俳人、萩原井泉水さんは、人間の柔軟性について、
豆腐をたとえにしてうまい表現をしておられる。 「豆腐は四角四面の仏頂面だが、軟らかさでは申し分ない。 身を崩さぬだけのしまりもある。煮ても焼いてもよし、 沸き立つ油で揚げても、寒天の空に凍らしてもよい。 相手を選ばぬ。チリ鍋、スキヤキ、おでん、正月の重箱でも 仏事のお皿にも一役買う。実に融通がきく、 無我の境地に至っている。 それは重い石臼の下をくぐり、こまかい袋の目を漉して、 さんざん苦労したからである」 ついでに追加させていただけば、 「初めは、冷水の中にドップリと浸けられた上で、熱湯の中を くぐりぬける。その後、石臼で自分という形をなくされ、 にがりによって、程よい硬さにされる」 人間の修業以上のきびしい体験を積んだともいえる。 だからこそ求められるままに対応できる。 変化の厳しい今日、 豆腐師匠のところへ弟子入りしたいものである。
まゆの感想
私はこの話がとても好きで、豆腐を見るたびに、
最近は「豆腐師匠さま」などと言っている。 そして、さらに追加させていただけば、 こんなでありながら、豆腐は、主役をはることもできる。 例えば、「湯豆腐」や「冷や奴」なんて豆腐が主役だ。 豆腐の味そのものを味わってもらえる。 しかも、寒い冬でも、暑い夏でも、どちらでもいい。 それに、主役でなくても、味のしみこんだ豆腐は、 とれもおいしくて、みんなの人気の的だ。 栄養価も高く、体が弱っているときにも、 元気な時にも受け入れられる。 豆腐…すごいヤツ… やるヤツ… なんて思ったりする。 そう思いながら、 豆腐をありがたくいただいた。 豆腐のような生き方…もよさそうだ。 |
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