■2023年07月24日の「今日のことば」■
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![]() 少年院に赴任したての頃は、 凶暴な連中ばかりでいきなり殴られる のではないかと身構えていました。 しかし、実際は人懐っこくて、 どうしてこんな子が? と思える子もいました。しかし、 一番ショックだったのが、 ・簡単な足し算や引き算ができない ・漢字が読めない ・簡単な図形を写せない ・短い文章すら復唱できない といった少年が大勢いたことでした。 見る力、聞く力、見えないものを 想像する力がとても弱く、そのせいで 勉強が苦手というだけでなく、話を聞き 違えたり、周りの状況が読めなくて 対人関係で失敗したり、イジメにあったり していたのです。そして、それが非行の 原因にもなっていることを知ったのです。(略) そのような彼らに「苦手なことは?」と 聞いてみると、みんな口を揃えて 「勉強」「人と話すこと」と答えました。
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上記のようなことは、学校では気づかれず、
そのまま大きくなっていき、犯罪に手を染める いくことが多いそうです。 では、彼らは、いったい学校でどんな 生活を送っていたかというと、この本によると 「大体、小学校2年生くらいから勉強について いけなくなり、友だちから馬鹿にされたり、 イジメにあったり、先生からは不真面目だと 思われたり、家庭内で虐待を受けていたりします。 そして学校に行かなくなり「厄介な子」として 扱われるだけで、軽度知的障害や境界知能 (明らかな知的障害ではないが、状況によっては 支援が必要)があったとしても、その障害に 気づかれることはほとんどありません。 中学生になるともう手がつけられません。 犯罪によって被害者を作り、逮捕され、 少年鑑別所に入って、そこで初めて、 「障害があったのだ」と気づくのです」 そして、そういう子になぜ、 犯罪に走るようになったかと問うと、 「中学に入ったら全く勉強がわからなくなった。 でも、誰も教えてくれなかった。 勉強がわからないので学校が面白くなくなり、 サボるようになった。それから、 悪いことをし始めた」と答えたそうです。 このような現実を目の当たりにして、 宮口さんは、 「子どもが少年院に行くということは、 ある意味、教育の敗北でもあるのです」 とても考えさせられる本でした。 次回も取り上げます。 |
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