■2017年07月31日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
ある時、ひとり暮らしのお母さんが 「忙しい、忙しい」と言いだして、 娘さんは、いぶかった、なんでそんなに忙しいの? ひとりで呑気に暮らしているはずなのに…すると、 お母さんは「あんたのために、あんたのために忙しいのよ」と。 えっ?私のため? この受講者さんは、さらに解せない。 離れて暮らしているから、離れて暮らしているからこそ、 母親の手を煩わせるようなことは、何もしていないのだから。 数年を経て、お母さんが病気で入院することに。 そしてこの時、母親が忙しいと言っていた理由がわかる。 お母さんは、自分ひとりで、家を徹底的に片付けていたのだ。 あんなにあったモノは見事に処分され、 蔵にあった不要物もきれいさっぱり。 日用品も最小限、電気製品はテレビのみ、 たんさくあった衣類も着物箪笥ひとつにまとめられていた。 お母さんは、退院することなく亡くなられた、 お葬式がすみ、遺品の整理をする段になって、 「あんたのため」という意味もわかった。 お母さんは、娘が、思いのいっぱい詰まったモノで 苦しむことのないように、もの主のいなくなったモノに 縛られることのないように、元気だったあの時に、 できるかぎりのことを自分にしてくれていたんだと。
まゆの感想
逆に、こんな方もいるそうです。
「父親が臨終を迎えた。 でも、泣いているどころではない。 頭をよぎったのは実家の惨憺たるありさま、 おびただしいモノの山また山。 親戚が、弔問客が集まる前に、なんとかしなくては! 姉夫婦と自分の夫、4人が必死になって、 階下のモノを2階に押あげ、 二間続きの和室の畳が見えるようにした。 それはお通夜の間も続き、父の亡骸に寄り添うひまもない。 もうそれでクタクタのヘロヘロ。 お葬式では、4人とも朦朧としていたとか…」 そしてやましたさんは、 「人生も、親も、そして自分も、いろいろです。 まだまだ、このまんまでは、死ねませんわ」 と言っていました。 私も、同感です。 今どきは、「終活」をいろいろなところで耳にしますが、 「終活」もできるところからしていかないとなぁ… などと思っているしだいです。 |
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