■2011年06月10日の「今日のことば」■
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竹下君は、上司に言い渡されていた。
「お前だけが営業で苦しんでいるわけじゃないよ。 今まで営業で悩まなかったと言う人に会えるかどうか、 調べてみなさい」 「よし、バリバリの田中先輩なら営業で悩んだことなんか ないだろう」 「なんだい、竹下君?」 「先輩、ちょっと伺いたいのですが、先輩ほどの 器量があるなら、営業で悩んだことなんかないですよね? 「お前はね、誤解しているかもしれないけどね、 営業を始めた頃から今まで悩まない日なんてなかったよ」 「えっ?」 「悩んで悩み抜いて、やっとここまで来たってところかな」(略) 「悩んでいない、先天的に営業の上手な人がいるはず」 と思う竹下君だったが…しかし、現実には、 「悩んでいない人など一人もいない」のです。 営業の達人、プロ、生まれつき上手と思われる先輩も、 誰1人悩まずにここまでになったのではないのです。 ついに竹下君は、上司にいいました。 「やはり、自分が間違っていました。 悩まない営業など一人もいないのがよくわかりました」 すると、上司はいいました。 「竹下君、よいことに気づいたよな、さらにいうとね、 これは営業に限ったことではないんだよ」 「??」 (以下に続く)
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(上から続く)
「人生すべてそうなんだ、悩まない人、苦しまない人など、 いないんだよ。もしも生きているならね。 だからさ、よく死んだつもりで頑張れ、というだろ。 死んだ人は悩んだり、苦しんだりしないはずだ」 つまり、悩まない人、苦しまない人というのは、 「死んだ人だけ」というわけです。 「こんなこと考えたこともなかった。 自分は苦しみたくない、悩みたくないとばかり 考えていたようだな。間違いだった」 生きながら、死人となりてなり果てて 思いのままにする業(わざ)ぞよし これは江戸時代の至道無難禅師が作った和歌です。 ようするに死んだつもりで物事を行えば、 悩みも苦しみも何もないよ、という意味です。 (ここまで引用) 生きていれば、悩みも、苦しみもある… つまり、悩みがあり、苦しみがあるのは、生きている証拠。 何かを本気でやろうとすれば、悩みも苦しみもあるのが当然。 誰かのことを本気で思えば、悩みも苦しみもあるのが当然。 これが生きてることで、これが人間なんですね。 悩むこと、苦しむことがイヤなら、禅師のいうように、 死んだつもりで物事を行うといいのですね。 |
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