■2007年07月13日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
岐阜県美濃市。清流長良川の支流が多く流れるこの地は、
古くから伝統的に和紙づくりが行われてきました。(略) この伝統ある和紙づくりを今の受け継ぐ石原英和さん。 美濃和紙づくりの第一人者で、伝統工芸の石原さんに、 取材する機会がありました。 (取材の石原さんのことばを以下抜粋しています) 「1枚の紙を漉くことは簡単です。少し練習すれば誰でも できるようになります。でも、これで飯を食っていくのなら、 千枚漉けば千枚とも同じ紙にならなければいけない。 それができてこそ紙漉きなんです」 「私には紙漉きの才能なんてありません。 不器用だったから、一生懸命に続けてきただけです。 不器用なことが私の才能かな」
まゆの感想
この石原さんの取材をして、著者はこう感じたということです。
「初めから才能のある人なんていない。もし恵まれた才能を もっていたとしても、一生懸命に続けて努力しなければ、 花を咲かすことはできない。 そういうことを考えると、才能とは 〈あるべきものではなくてつくり出すもの〉 なのかもしれません。そして自らの手で才能を 生みだしていく過程に、幸せが宿っているのでしょう」 私は、小さな頃から油絵を描いてきたが、 小さな頃、いつも疑問に思っていたことがあった。 それは、ずっと描いていても絵のコンクールで選ばれないのに、 1枚描いただけでも選ばれる人がいるということだった。 「私はこうしていつも描いているのに、選ばれず、 1枚描いただけの人たちが選ばれる…変だ、なぜ?」 このことを先生に尋ねると、先生は、 「1枚描くのは誰でもできるけど、次に同じレベルの 絵を描けるかどうかが実力なんだよ。 いつも上手いか、1回だけまぐれでうまいか」 というようなことを教えてくれた、と記憶している。 今になってみれば、石原さんが言ったこととまったく 同じことを聞いていたような気がする。 一発屋ならそれでもいいが、仕事としてやっていくなら、 プロとしてやっていくなら、いつも同じレベルの力が 出せなければいけないということで、 そのために、人は日夜努力を重ねるのだと思う。 何事も一回きりではないし、一発勝負ではないからだ。 そしてそれが、その人の実力となり、その努力の上に、 才能が花開き、そして実力を出し切れるのだと思う。 |
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