ことば探し
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■2006年08月30日の「今日のことば」■

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「今日のことば」
夏目漱石の「道草」を読んだことのある人は多いだろう。
主人公の建三は30代の大学教授で、
妻のお住(すみ)は高級官僚の娘という設定である。
妻が家計のやりくりで苦労しているので、
夫は少しでも負担を軽くしてあげたいと、アルバイトをする。
ところが、そうして得たお金を妻に渡しても、
妻は別に嬉しそうな顔をするわけではない。

「もし夫が優しい言葉を添えて、それを渡してくれたら、
 きっと嬉しい顔をする事ができたろうにと思った」
漱石は妻の気持ちをこのように書いている。

一方、そのときの夫の気持ちはというと、
「もし細君が嬉しそうにそれを受け取ってくれたら
 優しい言葉もかけられたろうにと考えた」
と書いている。


お互いに相手の優しさを期待しながら、
自らその優しさを表に出さなかった。

出典元 動けば叶う
おすすめ度 ★★★☆☆  ※おすすめ度について
著者名 多湖 輝

まゆの感想
「道草」は、明治時代に書かれたものだけれど、
昔も今も、全然変わっていないものだなぁと思う。

どっちが、先に優しさを示すか、
どっちが、先に気持ちを言うか、
どっちが、先に謝るか、
どっちが、先に折れるか、などなど、
人間関係では、絶えず、こんな心理駆け引きが
行われがちだと思う。

つねに、相手が先…と思うのである。
相手からのアクションを期待するのである。
そうしたら、自分もこうしよう…
そうしてくれたら、自分も優しさを出そう…
などと、お互いに思い合っているのだ。

その結果は…
自分の思ったようなものでなく、
落胆や怒りやさびしさを持ったまま、
本当の自分のよさも出せず、
終わってしまうことが多いのではないか。

なんだかな…
ちょっとため息がでるなぁ…

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