■2005年03月10日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
「その女性は、話すことも、理解することもできない。
ときどき何時間もわけのわからないことを ブツブツとしゃべりつづける。 人、場所、時間の見当識はないが、 自分の名前には反応を示す。 私がその女性の観察をはじめてから6ヶ月になるが、 いまだに自分の身なりに無関心で、 みずから身のまわりのことを しようという努力は見られない。 食事、入浴、着替え、すべて人の手を頼っている。 歯がなく、食物は裏ごしして与えなければならない。 絶えず、流れ出るよだれのために衣服は つねにべたべたになっている。 歩くことができず、睡眠は不規則。 真夜中に目覚め、泣き叫んで 他人を起こすこともしばしばである。 たいていは機嫌よく愛想がいいが、日に何度かは、 さしたる理由もなくいらだち、泣き叫ぶので、 誰かがなだめにいかなければならない。」 これを読み上げたあとラスキン博士は学生達に、 この人の世話をしてみる気はないかとたずねた。 おおかたの学生がとてもそんな気にはなれないと答えたが、 博士は自分なら喜んでやるだろうし、 君たちもたぶん同じだろうと言った。 学生達がきょとんとしていると、 博士はその女性のものだという一枚の写真をまわした。 そこには、6ヶ月になる彼の娘が写っていた。
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