■2017年07月04日の「今日のことば」■
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「今日のことば」
ところで、10歳の頃、 僕にとっては忘れられない出来事があります。 ある日、友達の家に行ったらハーモニカがあって、 吹いてみたらすごく上手に演奏できたんです。 無理だと知りつつも、家に帰って ハーモニカを買ってくれと親父にせがんでみた。 すると親父は、 「いい音ならこれで出せ」 と神棚の榊の葉を1枚とって、それで「ふるさと」をふいたんです。 あまりの音色のよさに僕は思わず聞き惚れてしまった。 もちろん、親父は吹き方など教えてはくれません。 「俺にできておまえにできないわけがない」 そう言われて学校の行き帰り、葉っぱをむしっては、 一人で草笛の練習をしました。 だけど、どんなにがんばってみても一向に音はでない。 諦めて数日でやめてしまいました。 これを知った親父がある日、 「おまえ悔しくないのか。 俺は吹けるがおまえはふけない。 おまえは俺に負けたんだぞ」 と僕を一喝しました。続けて、 「一発発起は誰でもする。 実行、努力までならみんなする。 そこでやめたらドングリの背比べで終わりなんだ。 一歩抜きんでるには、 努力の上に辛抱という棒を立てるんだよ。 この棒に花が咲くんだ」 と。その言葉に触発されて、 僕は来る日も来る日も練習を続けました。 そうやって何とかメロディーが奏でられるようになったんです。 草笛が吹けるようになった日、 さっそく親父の前で披露しました。 得意満面の僕を見て親父は言いました。 「偉そうな顔をするなよ。 何か一つのことができるようになった時、 自分一人の手柄と思うな。 世間様のお力添えと感謝しなさい。 錐(きり)だってそうじゃないか。 片手では錐も揉めぬ」 努力することに加えて、 人様への感謝の気持ちが生きていく上で、 どれだけ大切かということを、この時、 親父に気づかせてももらったんです。 (私の人生を支えてくれた父親の言葉 タレント桂小金治)
まゆの感想
この話は、続きがあります。
父親に披露した翌朝のことだそうです。 「翌朝、目を覚ましたら枕元に新聞紙に包んだ 細長いものがある。 開けてみたらハーモニカでした。 喜び勇んで親父のところに駆けつけると、 「努力の上に辛抱を立てたんだろう。 花が咲くのはあたりめえだよ」 子ども心にこんなに優しい言葉はありません。 あまりに嬉しいものだから、お袋にも話したんです。 するとお袋は、 「ハーモニカは3日前に買ってあったんだよ。 父ちゃんが言っていた。 あの子はきっと草笛が吹けるにようになるからね」 僕の目から大粒の涙が流れ落ちました。 いまでもこの時の心の震えるような感動は、 色あせることなく心に鮮明に焼きついています」 心に残った話だったので、ほぼ全文紹介いたしました。 この本には、心に残るような話がいっぱい書かれていますので、 ぜひ読んでみてくださいね。 |
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