ことば探し
★私は、冒険が好きで、冒険を恐れません★

■2008年02月05日の「今日のことば」■

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「今日のことば」
あるとき、彼は英語の論文の訳をお願いされた。
そう難しいものではない。そう長くもない。
1時間もあれば訳し終えるだろうものだったらしい。

朝の9時ころにお願いされて、そろそろお昼。
もう終わったかな、と頼んだ人が席をのぞくと、
まだ半分も進んでいない。
他の仕事をしていたのかと思いきや、どうもそうでもない。
ちゃんと頼んだ直後の9時から取りかかっている。
結局、正信さんはその日の夕刻5時近くにようやく訳し終えた。
1時間のつもりが、丸1日かかってしまった。
しかし、中身はしっかりしている。
丁寧にきちんと訳されていたという。

そういえば、最初、彼が自己紹介したとき、
「私は理解するのに時間がかかるんです。
 仕事も遅い。でも、ちゃんとやります」
というようなことを言っていた。

弱さや欠点を恰好をつけずにさらして、素直に自分を見せる。
これも、強さのひとつだと思う。
だから、頼んだ仕事が時間がかかっても、
「ああ、こういうことか」と納得できる。


もちろん、職場の状況や仕事の種類によっては、
悠長なことは言っていられないだろうが、自分を知って、
自分に素直になることは極めて大切なことだと思う。

出典元 ウサギ人間とカメ人間
おすすめ度 ★★★★☆  ※おすすめ度について
著者名 川村 則行

まゆの感想
この本に出てくる、彼、正信さん(仮名)は、
35歳頃に、考えるところがあり、国立の医学部を受験し、
合格し、その後47歳でクリニックを開業し、現在でも、
仕事に意欲を持ち、情熱を傾けているという人である。

その正信さんは、非常に優秀な3歳上の兄といつも
比較されて育ち、実際に、子どもの頃~青年期は、
要領が悪く、さえず、物事の進めるスピードも遅く、
友人達が20分くらいで終える宿題も、
1時間かけても終えられなかったそうだ。

つまり、正信さんは、すぐに結果は出ないが、
地道に積み重ねていくタイプで、兄に比べると、
出来はよくなかったが、コツコツと努力するタイプだったのだ。
そして、現在では、立場は違ったものになっているようだ。
兄は、大手メーカーで出世はしたが、その後、上司と
うまくいかず退職し、さらに事業を興したがうまくいかず、
その逆に、正信さんのクリニックはうまくいっていて、
これからだという。


この本では、優秀な兄を「ウサギ人間」、
要領が悪くさえない、正信さんを「カメ人間」と
言っているが、その正信さんの
「身の丈を見極めた生き方」に、非常に心を打たれた。
そして、その素直な生き方にも…

私自身が、カメ人間でありながら、カメ人間だということに
負い目を持ち、それを素直に認められず、生かせず、否定し、
いつも「ウサギ人間」にあこがれているからかもしれない…
正信さんのような素直な生き方を、これからは目指したい、な。

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