■今日の「おすすめ本」■
2018年11月1日
- タイトル
- こころの格差社会
- 著者
- 海原 純子
- 出版社
- 角川書店 (2006/06)
- おすすめ度
- ※おすすめ度について
著者が、現在、日本の抱えている心の問題や格差社会問題について
心理学的観点から分析、考察している本。
著者は、日本の現在の問題についてこう語っています。
「次なる目標がみつからずにぶつかった壁により、今まで省みら
れることがなかった内的問題が噴出しているのが現在の問題で
ある。
家庭内コミュニケーション不在や、家庭内暴力など、経済力と
目標にむかう高揚感でおさえこまれてきた問題が、今までの
ツケとして噴出している。
外的条件を求めることで幸せになろうとするには、個人も社会も
絶え間なく、次の目標設定をしなければ失速する。外的条件で
得たものを享受しているだけなら、失速は明らかだ。
日本経済の失速を心の観点から見るなら、バブル経済で得た
資金を活用し、楽しむことだけに集中し、つまり、所有する
だけを楽しみ、次なる目標設定をすることができなかった指導者
たちのミスと言えるのである」
例えば、こんなことが書かれています。
◎満足感を得られない日本社会
◎親子間のコミュニケーション不全
◎メールとコミュニケーション不全
◎コミュニケーション回避から引きこもりへ発展しないために
何をすべきか
◎とぶことを怖れない
◎「自分らしさ」アレルギー
◎外的条件を追い求めるベクトルを内の心にむける
◎安易な自己表現幻想は「自分探し」難民を増やすだけ
◎好きなことを好きなようにやったら果たして生きていけないか
◎失われた「日本式メディテーション」
学説や事例がたくさん盛り込まれ、読み応えある本で、勉強になっ
た本でした。じっくりと読んでみること発見することが多いと思い
ます。
この本からのことば | 感想 | 掲載日 |
---|---|---|
言いにくいことを避けたり、 対立を避け、そのことについて 話をしない回避傾向は日本社会の コミュニケーション不全の要因として 大きいとされているが、 | 「場」の外の人には、何をしてもいい、 「場」の中にいる人以外は、見えなくなっている、 または、見えても見ないふりをする、 そんなことが多くなっていると、 | 2021-12-23 |
「そんなつもりで言ってないのに」 異なってうけとられるコミュニケーション不全は、 家族、恋人同士、ごく親しい友人間でおこりやすい。 なぜなら、そこには親し | なるほど、こんなことはよくあるなぁ…と思いました。 「このくらいはわかってもらえるだろう」 「言わなくても気づいてくれるはず」など、 相手に対する「説 | 2012-05-24 |
みんなと同じことができない人は、 みんなと違うことができるはずである。 みんなと同じでなくてよい。 自分の土俵をつくってみよう。 | みんなと同じでなくてもいい、みんなと違っていていい、 自分は自分でいい、そんなことが今の日本では、 押さえ込まれていて、自由がないように感じる。 そして、 | 2012-03-29 |
外的条件がよい方に変わっても、多くの人は次第にそれに 慣れてしまう、そして、もっともっとと収入をあげても、 あがった収入に人はすぐに慣れてしまうし、どんなに | この具体例として、ジェイ・フェラン生物学教授の、 「よい環境がフクロネズミにどんな影響を与えるか、 フクロネズミは豊かになると幸せになれるか」 という調 | 2012-03-28 |