医者に治せる病気は限られています。
原因のわからない病気、原因がわかっても
直せない病気はとても多い。
それでも医者なら、なにか言わなければなりません。
苦しまぎれに出る言葉が、
「ストレスのせいかもしれません」
「要は気持ちの持ちよう」なのです。
つまり、医者もわからないから、ほとんど無意識のうちに
証明不可能な世界に持ち込んでしまうわけです。
ちなみに、整形外科でよく使うのは「歳ですね」の一言。
実際のところ、腰の痛みを治すのは難しく、歳をとったのだから
仕方ないじゃない、ということになります。
いわば「とどめの一言」で、そう言われれば何も言えません。
しかし、言われた側には、どうしようもない気持ちが残ります。
見捨てられた感覚であるとか、持って行き場のない怒り…
心療内科医として話を聞くのは、そのような内容です。
だれかがそれを受け止めるような仕組みが必要なのだと思います。