ことば探し
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「今日のことば」
そうじずきのパンタカ おしゃかさまの弟子に、マハー・パンタカと、チューラ・パンタカと いう二人の兄弟がいました。 先におしゃかさまの弟子になった兄のマハー・パンタカは、 とてもかしこく、おしゃかさまの教えも早く覚えることができました。 弟のチューラ・パンタカは、とてもすなおで、毎日のおつとめも 休むことなくいっしょうけんめいにはたしました。 ただ、たいへんもの覚えが悪く、だれでも知っているような短い お経を覚えるのさえ、何ヶ月もかかってしまいました。 初めはあわれに思って気にかけていた兄も、弟のあまりのもの覚えの 悪さに、だんだんいやけがさしてきました。 ある日、兄はついにたまりかねて、弟に言いました。 「おまえのようなやつは、おぼうさんになるのをやめてしまえ」 たよりにしていた兄に見はなされた弟は、これからどうしたらいいか わからず、泣きながらお寺を出て行こうとしました。 そこへ、おしゃかさまが通りかかりました。 おしゃかさまは、弟のパンタカに、どうして泣いているのか、と たずねました。パンタカがなみだのわけを話すと、おしゃかさまは、 やさしく、こう言いました。 「パンタカよ、泣くことはない。  おろかと言われても、悲しむ必要はない。  おまえは私の弟子だ。だれにえんりょすることがあろうか。  いつでも安心してわたしのそばにいたら、それでよいのだ」 それから、パンタカの頭をそっとなでて言いました。 「だれにでも苦手なことはあるものだ。そして必ず、  得意なこともある。パンタカ、おまえは何が得意かね」 「はい、わたしはそうじが得意です」 パンタカが元気にこたえると、おしゃかさまはパンタカに、 白い布を一枚わたしました。 「パンタカよ、これからおまえは、もう何も覚えなくてよい。  この布で、みんなのはきものをきれいにする。  そのことだけを、心をこめていっしょうけんめいすればよい」 パンタカは、おしゃかさまからもらった布を、たからものの ようにたいせつにしました。 そしておしゃかさまに言われたとおり、みんなのはきものを 一日も休むことなく、きれいにふき続けました。 あるとき、兄のマハー・パンタカがお寺の前を通りかかると、 そこには、何百足もあるはきものを、ひたすらいっしょうけんめい ふいている、弟のチューラ・パンタカのすがたがありました。 おずおずと自信がなかったこれまでとはちがい、自信にあふれた その表情は、いきいきとして、まぶしいほどでした。 兄は、自分のしたことをはずかしく思い、弟に向かって、 そっと両手をあわせました。


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