■2014年07月28日の「今日のことば」■
前日のことばを見る 次のことばを見る
「今日のことば」
「あなたは、今どき流行らない」
ショッキングな言葉ではないか。 こんな言葉を職場の上司からもらったら、 たいていの人は落ち込んでしまうだろう。 加賀美幸子は知る人ぞ知るNHKの元看板アナウンサーだ。(略) それが、上司からこのような言葉をかけられ、順風だった航路に、 凪(なぎ)の時期が訪れた。 当時を振り返って、加賀美はこう言う。 「それまでは誠に順調であったのに、希望の番組ももらえず、 いくらか暇になった時期があった。 アナウンサーとして悲しむべきことなのかもしれないのだが、 もともと打たれ強い私は萎(しお)れるどころか、 『流行るということはいずれ廃(すた)れることなのだから、 流行りたくもない。 流行り廃りのない仕事の仕方をしていこう』 と自らに言い聞かせ、以来自分の道をひたすら歩み始める 良いきっかけとした」 30代のころの静かな語り口調と、60代に至っての 古典の朗読とが、ほとんど変わらないアナウンサーだった。 流行り廃りを超越したところに独自の道を切り開いた 先駆者と言えるだろう。
まゆの感想
「あなたは、今どき流行らない」と
上司から言われた加賀美さんは、こう決めて実行したそうです。 「外から見えない、聞こえないところこそ深く厚くしていこうと 心に決め、仕事へ向かい方、アナウンスの在り方、 番組への取り組み方など、心深く潜行することを何より大事にし、 フラッシュは浴びないけれど大切な古典や福祉の番組 『テレビ聾(ろう)学校』などにも取り組み始めた。 以後、それが言葉の道を進む上でかけがえのない宝となった」 加賀美さんが、アナウンサーをつとめると、 いつも穏やかであたたかい感じで、落ち着きがあり、 やさしさが全面に醸し出されていたことを今でも覚えています。 他のアナウンサーにはない、加賀美さんの口調、 雰囲気だけは鮮明に覚えています。 誰かに何かを言われたからと腐るのではなく、 自分のスタンスを見極め、自分の持ち味を活かし、 流行り廃りのない自分の居場所を自らつくりだし、 そのために人知れず努力をしてきたから、 あのような語り口調だったのだと、この本で始めて知りました。 何かを極めていくためには、強い決意と、 表には出ない、見えないところでの地道な努力が 必要なのだとあらためて思いました。 |
|